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市場が見据えるコロナ後  物件は値上がりしていると投資家の半数以上が回答

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文/朝倉 継道 イメージ/©fantasista・123RF

不動産投資に関するアンケート結果を健美家が発表

不動産投資情報サイト「健美家(けんびや)」が、この5月末に、「第15回 不動産投資に関する意識調査」の結果を公表している。年に2度ずつのリリースが続いている定例のレポートだ。

調査対象者に会社員が多く、年齢層も比較的若いことから、いわゆるサラリーマン大家を中心とした投資家型オーナーの意識が汲み取りやすい、業界注目度の高い資料となっている。

今回の有効回答数は563名。調査時期は21年4月28日~5月12日。回答者の職業、年齢の割合は、以下のとおりとなっている。


目をひく内容をいくつか紐解いていこう。まずは、「現在の投資用不動産の価格について、1年前と比べるとどう感じていますか?」との質問だ。

これに対するオーナーの答えを過去2回の結果と比べるかたちで挙げてみたい。

見てのとおり、前々回から今回にかけての1年間の変動が著しい。

背景には、当然ながら新型コロナウイルスによる「コロナ禍」の影響が色濃くうかがえるが、その意味で今回の数字は、市場が「コロナ後」をはっきりと意識し始めている様子が示されたもののようにも思える。

現在は買い時? それとも売り時?

次に「現在、投資用不動産は買い時だと思いますか、売り時だと思いますか?」との質問に対する答えだ。このようになっている。

このうち「売り時だと思う」は、20年4~5月調査時においては9.0%で、今回は大幅な増加となっている。前記の質問における「(投資用不動産の)価格が上昇している」の伸びと、呼応するかたちといえるだろう。

とはいえ、それでもここでの多数派は、上記のとおり「どちらともいえない(51.2%)」にほかならない。

そこで、この皆さんに、「どちらとも言えない理由は何ですか?」と、尋ねた結果が、以下のとおりとなっている。

ご覧のとおり、「物件次第だから」が圧倒的な理由となっている。身も蓋もないようでいて、実はこれこそが不動産投資を冷静に語る、当たり前の正解といってもよいだろう。

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ネット銀行や外資系金融機関に注目

次に「2020年10月以降に物件を購入した」という皆さんのうち、「融資を利用した方」に対する、「どの金融機関を活用しましたか?」との質問への答えに注目してみたい。

取り立ててのトピックとはまだいえないものの、面白い数字として、「その他の銀行」におけるシェアの伸びがある。

まずは、今回調査分の各金融機関別の数字を挙げてみよう。

上記の内、「その他の銀行」のシェアをさかのぼると、ここ数年の伸びがやや目立っているのが分かる。

そこで、「その他の銀行」とは何か? 説明書きを見ると、そこには「SBJ銀行、ソニー銀行など」とある。

このうち、ソニー銀行はご存じの方がほとんどだろう。いわゆるネット銀行を代表する1社だが、一方のSBJ銀行の名前は、聞き慣れない方も多いはずだ。

こちらは、韓国の大手金融グループの日本法人。つまり外資系だ。

よって、ここに見えている、投資家オーナーへの融資元における「その他の銀行」のシェア拡大とは、すなわち、ネット銀行や外資系金融機関による、個人不動産投資へのアプローチの拡大と見ることができる。

この状況がもしも続くのならば面白い動きといっていい。

なぜなら、個人投資家レベルの不動産投資というのは、いわば、土地、土地の特性を見据えた地場産業ともいえるものだ。当然ながら、地域の実情をよく知る、地元密着型の金融機関がこの分野では強い。

そこに似合わぬキャラクターによるチャレンジが広がりつつあるのかもしれないということで、今後も気になる部分といえるだろう。

健美家 第15回 不動産投資に関する意識調査

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この記事を書いた人

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